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小説の感想とその他いろいろ(音楽、映画、壁紙...)愚考録

戦争かそれ以前か『悪童日記』アゴタ・クリストフ

とある戦争の最中、<大きな町>から<小さな町>へと疎開してきた双子の秘密のハードボイルド日記。無感情から生まれるエモーション。とても刺激的な読書体験を味わうことができる。これは読んでおいて損はない小説である。

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戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。 (Googleブックスより)

この『悪童日記』(1986)は三部作の一作目で、この後『ふたりの証拠』(88)『第三の嘘』(91)と続く。著者のアゴタ・クリストフはハンガリー生まれ(1935)で、ハンガリー動乱の際にスイスへ亡命。母国語ではないフランス語で処女作『悪童日記』を書いて成功、多くの読者を得る。


テーマは重いが雰囲気は軽く、最後までスラリスラリ。しかし最後に地雷。これで二作目、三作目があると知ってしまっているとなれば、読まずにはいられないだろう。

だが何はともあれこの『悪童日記』。二人の天才的悪童の秘密日記に驚愕していただきたい。

この双子を生み出したのは戦争かそれ以前の何かか。

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

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映画化もされてる。観たい。

悪童日記 [DVD]

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